冒険野郎第一弾

二川ダム激流川下り

1996/6/21〜6/22

第三話「Fireflies」

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Firefly。

・・・なにこれ?


という質問は置いといて・・・。

その日の二川ダムは前日からの雨で非常に水が増水していた。

一郎曰く、「これはなかなかいいですよぉ〜。好条件が揃ってる!」


県道から外れ、二川ダム沿いの未舗装路に入っていく。

二川ダムは和歌山県下でも有数のブラックバス釣り場として有名らしい。朝にでもなればこの未舗装路が来るまでいっぱいになるとのお話。

付近には明かりはほとんどない。漆黒の闇である。


時刻は午前3時すぎ。

われわれは二川ダムに到着した。

しかし、この時点では冒険野郎としてではなかったが・・・。


湖面に近づいてみる。

チャプッ、チャプッ!

近くで魚のはねる音が聞こえる。

「マスオさん!!これはすごいわ。あちこちにバスがいるよ!」

一郎が興奮して言う。確かに真っ暗闇の向こうに魚が跳ねている音がする。

一郎と西出さんはもう、今すぐにでも釣りに出たそうである。

・・・でも、ボートを出すにはまだ早い。夜明けまで待つことにした。


・・・ふと、湖のまわりの木々を眺めた。何かが明滅しているような・・・。

「何かいるよ・・・」

何か、ボォッとしたものがふわふわと浮いている。

・・・一瞬、人魂を想像して、なま暖かい風の中で寒気を覚えたが、すぐにその正体は判明した。


「蛍だぁ〜!!!」

・・・ほんと、久しぶりに蛍を見た。小学生以来ではないだろうか。

ふわふわと飛びながらお尻の部分が明滅している。結構明るい光である。


よく見ると、あちこちに蛍が飛んでいるではないか!!

そのうちの一匹を捕まえてみた。

結構小さい。・・・ヘイケボタルである。ゲンジボタルはもっと大きかったはずだ。

手のひらの中にいながらも蛍のお尻は明滅している。

それにしても面白い。なんで光るんだろう?


自然っていいなぁ・・・。

そう実感のこもった、これが今回の企画の始まりであった・・・。

・・・結局、夜明けまで一眠りする予定が、意外な出迎えもあり、興奮のまま釣りに突入することになる。


午前4時すぎ。

まだ、辺りは暗闇である。でも、もう30分ほどたてば夜が明けるだろう。

「よ〜っし!ボートを膨らまそう!!」

夜明けとともに一郎、その妻、西出さん、私の4名を載せたボートは、ススゥーっと霧がたちこめる二川ダムの湖面を静かに進むのであった。

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