ボートに乗船するのは3名。
先頭、ボートの舳先には私が。
オール担当は一郎。そして、船尾に若旦那。
私には棒っきれが渡された。それで岩にぶつからないようにするのである。ぶつかると、もしかするとゴムが破れてしまうかもしれないのだ。
私、一郎の順でボートに乗り込み、最後に若旦那がボートを押しながらボートに飛び乗る。
いよいよスタートである。
いきなり、キャンプ場の目の前をボートが軽快に流れる。キャンプをしている子供たちが歓声を上げる。
嬉し恥ずかし激流下り。ちょっと、子供たちに手を振る余裕はないが、なんか楽しくもある。
「ヒャッホーォォォォ〜!!」
こ・れ・は、滅茶苦茶面白い!!増水で川の流れも非常に軽快である。
一気にキャンプ場の前の直線を進みきった。
・・・さて、その先は右カーブである。流れは急。さぁ、棒っきれの出番である。
「マスオさん!!頼みますよ!!」
「おっしゃぁ〜、まかせい!!」
水の流れにのり、ボートは岸壁にまっしぐら。そして、私は棒を崖に当てながらボートを衝撃から守る。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜!!!!」
ガリガリガリガリガリガリィィィィ〜。
棒と岩の擦れる音を聞きながらボートは何とか接触を免れた。
「よし!この調子で行くぞ!!」
一郎も必死にオールを繰り出している。
次々にカーブを越えていくゴムボート。
・・・・そして、その時はやってきた。
「よし、次は左カーブだ!」
「まっかせなさぁ〜い!!」
調子のいい私であるが、このカーブはそれまでとは様子が違った。
「おいおいおいおい!ぶつかるぶつかるぅ〜!!!」
「やばい!!!!」
次の瞬間、ボートを壁にぶつけまいと、3人が3人ともボートの片側に身を寄せた・・・。
ドッパァァァァァァァァァァ〜ン!!!!!!
・・・とは言ったか定かではない。
とりあえず、ゴムボートは天地がひっくり返り、私はボートから投げ出され、足がボートの縁の紐にひっかかっている状態であった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ〜!!!!」
落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け・・・・・。ここで、あわてたら助かるものも助からんぞ・・・。
そう思いながらボートの縁をつかむ。
一郎と若旦那は?どこだ??
・・・すると、転覆したボートの中から声が聞こえる。
「マスオさぁ〜ん!!大丈夫かぁ〜!!!!」
「・・・なんで俺だけ外に投げ出されるんだかなぁ。」
「よし、とりあえず、ボートを元に戻そう。いいか?いち、に、のさん!!」
元にもどったボートになんとか這い上がろうとする3人。しかし、水を含んだ服はその行動を阻害する。
悪戦苦闘の末、なんとか全員がボートに這い上がった。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「ふっ、くっくっく、あっはっはっはっはっはははははは〜。」
もう、笑いが止まらないとはこのことである。
「なに、今の?」
「めっちゃ、おもろい!!おもろ過ぎる!!!!」
「おいおいおいおい、マジかよぉ〜!!」
・・・そして、一郎が一言。
「それにしても、ライフジャケットって、ほんとに浮くんやな。」
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