冒険野郎第一弾

二川ダム激流川下り

1996/6/21〜6/22

第七話「ライフジャケット」

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ボートに乗船するのは3名。

先頭、ボートの舳先には私が。

オール担当は一郎。そして、船尾に若旦那。


私には棒っきれが渡された。それで岩にぶつからないようにするのである。ぶつかると、もしかするとゴムが破れてしまうかもしれないのだ。

私、一郎の順でボートに乗り込み、最後に若旦那がボートを押しながらボートに飛び乗る。

いよいよスタートである。


いきなり、キャンプ場の目の前をボートが軽快に流れる。キャンプをしている子供たちが歓声を上げる。

嬉し恥ずかし激流下り。ちょっと、子供たちに手を振る余裕はないが、なんか楽しくもある。

「ヒャッホーォォォォ〜!!」

こ・れ・は、滅茶苦茶面白い!!増水で川の流れも非常に軽快である。

一気にキャンプ場の前の直線を進みきった。


・・・さて、その先は右カーブである。流れは急。さぁ、棒っきれの出番である。

「マスオさん!!頼みますよ!!」

「おっしゃぁ〜、まかせい!!」

水の流れにのり、ボートは岸壁にまっしぐら。そして、私は棒を崖に当てながらボートを衝撃から守る。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜!!!!」

ガリガリガリガリガリガリィィィィ〜。

棒と岩の擦れる音を聞きながらボートは何とか接触を免れた。


「よし!この調子で行くぞ!!」

一郎も必死にオールを繰り出している。

次々にカーブを越えていくゴムボート。

・・・・そして、その時はやってきた。


「よし、次は左カーブだ!」

「まっかせなさぁ〜い!!」

調子のいい私であるが、このカーブはそれまでとは様子が違った。

「おいおいおいおい!ぶつかるぶつかるぅ〜!!!」

「やばい!!!!」

次の瞬間、ボートを壁にぶつけまいと、3人が3人ともボートの片側に身を寄せた・・・。


ドッパァァァァァァァァァァ〜ン!!!!!!

・・・とは言ったか定かではない。

とりあえず、ゴムボートは天地がひっくり返り、私はボートから投げ出され、足がボートの縁の紐にひっかかっている状態であった。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ〜!!!!」


落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け・・・・・。ここで、あわてたら助かるものも助からんぞ・・・。

そう思いながらボートの縁をつかむ。

一郎と若旦那は?どこだ??


・・・すると、転覆したボートの中から声が聞こえる。

「マスオさぁ〜ん!!大丈夫かぁ〜!!!!」

「・・・なんで俺だけ外に投げ出されるんだかなぁ。」


「よし、とりあえず、ボートを元に戻そう。いいか?いち、に、のさん!!」

元にもどったボートになんとか這い上がろうとする3人。しかし、水を含んだ服はその行動を阻害する。

悪戦苦闘の末、なんとか全員がボートに這い上がった。


「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「ふっ、くっくっく、あっはっはっはっはっはははははは〜。」

もう、笑いが止まらないとはこのことである。


「なに、今の?」

「めっちゃ、おもろい!!おもろ過ぎる!!!!」

「おいおいおいおい、マジかよぉ〜!!」


・・・そして、一郎が一言。

「それにしても、ライフジャケットって、ほんとに浮くんやな。」

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