農地が持つとされる多面的機能について、とくに気候緩和機能と洪水緩和機能が宮崎県の農地でどれくらいあるのかを明らかにするために、宮崎市北部の花ヶ島土地改良区を中心に調査をしました。2008年9月から2010年12月までの間に,いろいろな観測装置を使ったり、データを分析したり、モデルで数値実験をしました。
植物が熱を吸収したり、水が蒸発したりすることで、農地の気温は、市街地よりも気温が低くなります。この農地が、近くの市街地の気温も下げてくれる働きのことを、気候緩和機能といいます。
たくさんの雨が降ってきたとき、道路や宅地に降った雨はすぐに流れていくのに対して、農地に降った雨は土に浸み込んだり、溜まったりしながら流れるために、川の水の流れる量を少なくしたり、洪水になる時間を遅くする働きのこと。
市街地:
雨が降り始めるとすぐに下流の川の水位が上昇します。また急激に水位が上昇します。
稲作中の水田(灌漑期)
雨が降り始めると、水田の水位と川の水位がゆっくりと上昇し始めます。
稲刈り後の水田(非灌漑期)
雨が降り始めると、最初に水田の水位がゆっくりとあがっていきます。しばらくして、川の水位がゆっくりとあがっていきます。そして、雨が降り止むとすぐに水田の水位が下がっていき、川の水位も下がっていきます。
引用です。
この報告は、水土里ネット宮崎(宮崎県土地改良事業団体連合会)の受託研究:水循環・農業用水の多面的機能調査によって行われた調査・研究に基づくものです。