樹木や作物など植物の成長に、日射や気温などの気象現象は密接に関係しています。さらに、植物は根から水を吸収し、光合成のときにその水分を蒸発させることで、水を消費しながら生きています。森林や農地は、降った雨を土壌に蓄える場所でもあります。そんな気象現象や水の振る舞いの知識は、植物を扱う農学部の様々な学問分野と深く関わるため、これらを正しく理解することを第一の目的とします。
フィールドで様々な研究・調査を行う際には、気象・水文情報を取得し、正しく扱う必要があります。何より野外活動を行うには、天気に関する知識が欠かせません。
そこで、この講義では、気象情報の種類やあり方などを理解し、かつ自ら情報にアクセスし、正しく情報を読み解く能力を養うことを第二の目的とします。
全体計画:
この講義は、教科書に掲載されているカラーの解説図とスライドを使い、重要な事項については板書しながら、気象・水文現象の説明、その発生の仕組みの解説を行う。
説明だけではわかりにくい事象については、教室での実験や、映像を観賞しながら、気象・水文現象の理解を深めていく。
講義の前半は主に、気象にまつわる事象について学習していく。その中で、地球温暖化やヒートアイランドなどの最近の気象問題についても扱い、課題の中で文献を調べるなどして、正しい知識を身につけていく。
後半の講義では主に、水文にまつわる事象について学習していく。水の流れなどに関する映像を見たり、計算演習などを通して理解を深めていく。
具体案:
前半の講義では、熱の伝わり方、雲や雨の発生の仕組み、雲の見分け方、天気図の読み取り方について学び、学んだことを活かしたレポート課題や、グループ課題などに取り組みながら理解を深めていく。
台風や豪雨の発生の仕組み、気象情報の利用の仕方などについても、講義で学んだあと、実際に気象情報にアクセスして、データを取得し、それを利用して必要とする情報を抽出するための演習を行う。
レポート課題の取り組み具合を主な指標として評価する。
後半の講義では、水の循環や植物の作用、流れの基本や、森林・農地を通した水の作用などについてまとめたテキストをあらかじめ配布し、それらの予習を前提とした小テストを毎回の講義の始めに行っていく。グループで議論しながら、正解を導き出す過程で現象を理解していく。
グループにおける議論で導き出された回答の正解率と、グループにおける貢献度を指標として成績を評価する。
最終的に、すべての講義の内容に関する多肢選択式の期末試験を行い、全体の理解度を評価する。
2020-01-11