水資源とは、水循環の過程で陸上に降った水が、流れ去るまでの間に、それを人間が利用しようとするときに生じる概念のことです。それを利用しようとする視点があって初めて資源としての水が存在します。水文情報を正しく理解し、かつ分析することによって資源として私たちが利用することができる水について理解し、その存在量を把握することができるようになります。
そこでこの講義では、実際の流域を例として、水文情報を入手し、自ら分析して、実際に水資源量を求める方法を学びます。さらに水資源を適切に監視していくにあたって問題となる様々な事象について、理解を深め、適切に対処する方法を考えていきます。
この講義を通じて、専門家としての立場でみる水資源の重要性と、一市民として水を利用する立場から水資源を見る視点の両方を獲得すること目的とします。
全体計画:
この講義では、大きく2つの異なるタイプの講義形式で実施する。
1つは、4人程度のグループを構成した後、対象流域を決め、その流域の水資源に関するデータ収集、計算、解析、分析を行い、結果をレポートとしてまとめ、最後にそれをプレゼンテーションするところまで行う。
2つ目は、Learning Through Discussionと呼ばれる「対話による学習」法を用いて、課題に対する予習に基づいたグループミーティングを通して、水資源に関する諸問題の理解を深める。
具体案:
前半の講義
講義の初めに4人を基本とするグループを結成し、対象流域を決め、その後の解析に必要な諸条件を揃える。その後、GIS/RSによる地形図の判読、流域の特定、標高データの分析、土地利用の解析、気象庁データの取得、降水量の解析、蒸発散量の計算と解析、河川流量の予測と分析、水需要量の計算、水資源量の計算と利水安全度の判定を順次行っていく。進捗状況の把握を目的として確認テストを、講義の初めに実施する。最後に、解析の結果を分析レポートとしてまとめたものを評価する。
また、分析レポートの内容を簡潔にまとめた、成果発表会を開催し、相互に評価し合うことによって、プレゼンテーションの良否を判定する。
後半の講義:
講義の初めに、LTD学習法の概要と、予習の進め方について解説し、取り扱う水資源に関する話題を選定する。
それぞれの話題に関連する資料読み込んで、予習を行った結果に基づいて、講義中にグループでディスカッションする。ディスカッションを通じて、水資源について理解を深める。
最後に、期末テストとして、水資源に関する問題についての意見を問う論述形式の試験を課して、理解度を審査する。
全体を通して、グループの中におけるメンバーの貢献度を互いに評価し合う機かを数回も受け、その結果を評価に反映させる。
2020-01-11